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トランス方式


AC/DC変換の一つの方法として、トランスフォーマ、つまり変圧器をメインに使った方式を説明します。図1は、トランス方式の一般的な構成になります。

ここでは例として、入力電圧を100VACとします。この100VACをトランスによって、所望のDC電圧が得られるAC電圧に降圧(変圧)します。この部分はAC/AC変換になります。変圧値(トランスの二次側に発生する降圧値)は、トランスの一次側と二次側の巻線比によって設定します。
トランス方式とスイッチング方式
図1.トランス方式の AC/DC 変換


もし、入出力間の絶縁が必要な場合には、このトランスを利用して絶縁することができます。

そして、降圧されたAC電圧はダイオードブリッジ整流器によってDCに変換され、コンデンサがそれを平滑し最終的にリップルの小さなDC電圧に変換されます。整流されたDC電圧は、ACのピーク電圧(AC×√2)からダイオードの順方向電圧を引いた値です。

出力の安定化が必要ない場合は、このDC電圧を出力として使うことができます。電圧の初期値はトランスの巻線比に依存することになり、負荷電流が増えれば電圧は低下します。安定化が必要であれば、電圧レギュレータを使って安定化します。この場合のトランスの二次側の電圧は、レギュレータの変換に適した電圧に設定します。例えば最終的に12VDCを作るのであれば、整流後の電圧を18VDCくらいとし、動作するために低からず、損失を抑えるために高からずといった具合に設定するのが一般的です。


トランス方式のAC/DC変換に使う実際の部品の例を示します。

トランス方式とスイッチング方式
図2.トランス方式のAC/DC変換に使用する部品例 左からトランス、ダイオードブリッジ整流器、電解コンデンサ


AC/AC変換をするトランスですが、ACの周波数は50/60Hzなので低周波トランスが使われます。電源用に設計されたトランスは、電源トランスとか商用周波数用トランス(商用トランス)などと呼ばれます。トランスの大きさ(体積)は電源の出力電力に比例すると考えてください。わかりやすい身近な例はACアダプタで、電流容量の大きなものは大きくて重いはずです。トランスの基本構造は、コアと呼ばれる鉄芯と一次および二次の巻線となります。コアには一般的に珪素鋼板を使用します。

ダイオードブリッジ整流器は、4本のダイオードが整流用に結線されて1つのパッケージに入ったものです。形状は写真の型以外に、SIPやDIPの四角いパッケージのものもあります。また、単品の整流ダイオード4個を組み合わせてダイオードブリッジを作っても構いません。ダイオードも許容電流が増えればサイズが大きくなる傾向にあります。

コンデンサは基本的には電解コンデンサを使います。必要な容量は負荷や許容できるリップルによって変わりますが、おおよそ数百~数千μFとなります。電源の出力電力が大きくなるとコンデンサも大きくなります。

一般的な電子回路の電源電圧を作る回路では、高電圧を扱うのはトランスだけになります。他の部品は作るDC電圧に応じた定格のものを選びます。

このトランス方式は、従来から最も使われてきた方式です。